発行・ライブハウス/渋谷アピア
アコースティック情報誌 Vol.117 2006.12月号

白紙日本

岩井由乃

負かす旅を

旅、と言った唾がガンジスか神田に流れる
行く、と言った足が頭脳となり実感となる
明日に移る法則で扉を開ける
一番勝ちたいもの
同類と成りさがる
がむしゃらにやっても地に足つかず、
             痩せるだけ
経験となりうる実体の体感を
なぜ物体に任す
気体になる息と酒に
任す足がないのか
ぶたれれば痛いが
ぶたれなければ痛いという
ぶつという実体と屏息に
痛くないという実感と溜息に
任す足がないのか
というのは、原則として
負かす旅を

次まで

警戒が心臓の唾を一回、正面を向いて瞬間に密着し
一口、飲む
姿勢が効いているからこそ見逃す訳にはいかない
高まる熱が目を増やしてゆく
近づいてくる移動を取る 二回目だ
瞬きが重ならない、もう一度、目をそらす
瞳の知らない時が補充は稀に、突き刺さる
這ってでないと段差を計りきれず
      走っては一段に飲まれる
注意を塞ぎ押し流された余分な期待を
      拭かずに睨み固まったら立つ
二度と眠るまいと目を閉じる
過敏な命のグラデーションを刈って炊いて明日食う


発表会

煙となって全身青白く軽く上へ只上へ燻る
充分に乾燥し母から離れ炎は今に燃ゆる
完全に吐き出てしまっている 自由に何の痛手もなく
阻害は振り返りもしない 自由に軽く平和を涙を
周到な声が連なって湿疹で満ち蒸発を喜ぶ
汗疹し声を見ては音の立たない手を鳴らす
練習をしかし燃えていては今温度を尋ねる
笑顔で埋める安楽の間と同じ隙間に
       静かに一つの火を付ける


獅子に似た鯛

シナプスがチロシンを食べた
膨脹、収縮
細やかに振動をはじめる毛穴が喚く
悪寒を食わせろ
つゆだくで

ビックリ水を素早くかわし
わさびに頼る
賛美歌を歌いちらす若者は
これだからすぐ盛り上がる
捕まえて思わず冷水にさらす

望遠も延長を覗くしかできない
期待した麺がぷちりと切れる
人間が蕎麦を食べた
トンビがハンバーガーを狙う
鍋の沸騰が寒い

脈拍が腕を絞めかけた段階で電話をかける
深夜の谷に首を差し出しているつもりが
安心しきって垂れ首、はらくだり
冷蔵庫に保つままに失敗を設け
日常を解凍し附着させ陳列する

鉄格子を溶かすタクシーは自分で呼ばねば
雁字搦め勘違いで雇われていたはずが
今は見込んだ再生を見ている
酒の肴に稚魚は早い、ということで
無言の加減で洗い、荒いアライブ


白紙日本

現代にして怪我な、かなしいなんてながせだ
白目でも祭りが効かん
日本のハチミツをも舐めて効かん
かゆい樹液の甘いとき、舐めるな、といわれただから

公衆ハウスに駈込願いな、酒くれ
とたん、種をばらまく蘭のあにき
ワンショットを切れ切れに、パパパパと、
写真が散乱
駒落しにされちゃ媒介がよくわかる

一人の痺れた足に我慢の真似もやってられん
擬態する、かみばなにさぞ似我蜂のミツは甘かろう
オフリス・スコロパクスに子供うませろ
机上プランだが


平行に消す

父を担保で眠るところ不抜に金が起きる
痛がる茶の毛を頬張る高さでキッスをする
光の糞で低速で洗い落とす
常軌に乗って分別をなくす役目の気流
尾が集中するだけ掘り出される無法の服
一定の間隔の入り口と染色を受けとり
踊るそれは跳ねる


ばばあ爆発

牛の根を廻る喋る老人を見ない
つもりが、自転車に乗って最後らへんで激突
感覚はもう廃れたのだ
まず 眼鏡が亀の産卵の邪魔 かなり迷惑だ 
空気を吸い込めそれから黄身だけ吐け、
  恥を捨てろ、テレビを消せ
ここで車輪が逆転し坂を転がりおちてゆく
しかたがないと倉庫から新しいのをもらう
が、これが真面じゃない とにかく重い
地は裂け家は片っぱしから崩れてゆく
持っていかれなっかた仕事に砂が紛れ
地熱の念で負けた
町は微かに余白を避け
牛の根を廻る喋る老人を見ない


脳験する

どうして手にする
気付かないのか
コップに納まる湯に浸るが、水を知らない
熱湯に気付かないのか
何か垂れる これが汗か
腹を割り
火をつけ実験を燃やすのです

納得できない為に
スケジュールを絶ち
耐えられるのは、水を沸かす音量に
耐えられるのは、我慢を売ったから
腹を捲り
実験をポリポリとかくのです

誤魔化して手にする
振り向いたら
後ろにいた人が癖だけをそこにおいて
飛ぶ、その蹴り上げた砂埃を
私は紙に読むしかなく
残した癖に、オクターブの実験を聴かすのです

新鮮な手帳にカビが生え
予定が腐りだしたら
ページを破り
日時を捨て
場所を捨て
果てを結びにいくのです


おんなの土

対応できないから紛れ込む 自然が来るか
祭壇を冷やし腹を燃やし竹を噛む
悲鳴に塗れ虫が怒鳴る 舌が追う
構築に木目を錯りつけ 待つガラスに葉を打つ
舞台には垢を貼り散る一人を沈めては影を掘る
返事は反射で白く溶け
迎えの肩に抱擁の染みをつけた
飛んで頭についていく


P1 P2 P3 P4 P5 P6