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衣・食・住とは人間が生きる最低条件とされる。しかしそれはあくまでも「生きる」道具である。自分は治安のよい日本に日本人として生まれ、手を伸ばせば届く範囲に衣・食・住が転がり湧いている。そういった環境下でただ「生きる」。しかし生を受けやがて死を迎えるということは、人生という時間をただ浪費する 「生きる」という行為ではなく、その時間をまっとうする「活きる」ということにこそ真の意味がある。衣・食・住をベースにそれにいかにして肉付けしていけるかが、人としての存在意義なのかもしれない。贅沢な環境で育った人間ならでわの意見だろうけれど、それを求める権利を最大限に活用して人生最後の瞬間を迎えたい。 活きるテーマは十人十色。個人でもその時によりいろんなことがプラスされたり変化したりするだろう。自分が音楽をする人間として活きる方法をみいだした(まだ25歳の自分がすべてを悟ったとはこれっぽっちも思っていないが・・・。)のは、「生命」というものを感じてからだ。日本では兄の結婚、そしてベビーの誕生に触れた。この歳になるとちらほら友人達も結婚し家庭を築いてゆく。かたや自殺問題、殺人などの凶悪事件も自分の中にもどんどん入ってきた。海外では貧富の 差、ハングリー精神、そしてその地の民族の誇りを痛感した。旅などを通して、その地の人々の暮らしを肌で感じることもあった。それらは僕を流れるようにつき動かした。というか、音楽というただ漠然とした楽しさを吸い込んだ胸の中の曇り空に、くっきりとした光が差し込んだような感覚すら覚えた。「命を訴える」。「平和 と共に命の連鎖を後世に受け継いでいく」。そのテーマがある限り僕はずっと歌っていくだろう。なぜなら、自分の楽曲を中心にそれが同心円状に広がり何らかの感動を人々に与えられたその瞬間、間違いなく僕は活きているのだから。
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